半端なくパラレルです。

十年後の世界。

ボンゴレの一員の雲雀が、もし子供の骸を拾ったら?

という妄想です。

勿論、過去に骸との戦いなんて存在しません。

骸とそっくりの子供を見つけたんではなく、あくまで現在本誌で大活躍中の「六道 骸」を、拾ってしまうんです。

それを踏まえて、そんな頭沸いてるような話でもいいわ!

って、奇特な方は、下へずずいっとスクロールしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は、朝からあたたかな雨が降っていた――

 

Sunny rainy day.

【 それは美しい人にあった、一番最初の日 】

 

しっとりと髪を濡らす程度の小さな粒が、さぁさぁと霧のように降って来る。

雲間からは光さえ射し込んで、雨だというのに随分明るく、暖かい日だった。

柔らかく、ぼやけたような街並みと、滲むような一面の光。

仕事を終わらせた帰り道。歩いて帰ろうと気まぐれを起こしたのは、だからかもしれない。

一人ついてきた部下に(それ以上はヒバリが絶対に拒絶するからで、本当ならもっと連れて行って欲しいらしい)傘を用意させて、雲雀は淡い光に照らされた、濡れる街をそぞろ歩いていた。

子供を見つけたのは、そんな時だった。

「君、なにしてるの」

たまたま入った路地にいた子供に声をかけたのは、ぱっと見、その子供が彼と同じ日本人に見えたことと、その状況の奇妙さからだった。

死体の転がる側に座って、黒い髪の子供はもう一人。自分と同じくらいの子供の頭を、その膝にのせていた。

「なにも」

答えた声は随分大人びて、落ち着いている。

子供らしい、高い声なのに、耳障りがいい。

きんきん響くような子供の声があまり好きになれない雲雀は、それに好感をもった。

ふ、と唇を綻ばせた雲雀を、子供はなにか不思議な物でも見るかのように見上げてくる。

ああ、やはり、純粋な日本人ではないのか。

自分を見上げる子供の顔立ちは、どこか西洋の趣を残して、繊細だ。

実際、こんな裏通りに日本人が居ることなど滅多にない。バカな観光客が、迷っていない限りは。

それにしても、わずかばかりでも日本の血を混ぜた子供がこんな所に居るのは珍しい。基本的に保守的で、異様なほどに内に閉じた人種である自国の人間は、ほんのわずかでも己たちの血をもっているならば、保護しようとするから。

じっくりとその顔を眺めた雲雀は、子供の目の左右の色が違う事に気がついた。

左の虹彩は、美しい青をしている。光の加減によって、黒のように濃い青にも、水色のような淡い青にも見える。一方、右目は白濁して、視力がないことが一目で読み取れた。勿体ない、と雲雀は素直に思った。

とても、綺麗な瞳なのに。

残念に思えど、あえてそれを指摘し、口にするような愚は犯さない。こんな風に、子供が一人で生きているのなら、それこそ、眼くらい簡単に失うような生活は当たり前すぎる事だから。

それは、この国に来て。否、日本を出てから改めて知った事実。

祖国では当たり前すぎた富裕も治安の良さも、外の世界では手に入れるのがひどく難しい。賑やかな通りを一歩隔てただけで、そこには貧困と暴力が渦巻いている。

だから雲雀はその目に付いてはなにも聞かなかった。変わりに、別の問いを放つ。

「それは?」

「襲ってきたので、死んでもらいました」

傍に転がる死体を指すと、やはり子供は、虚勢を張るでも、威嚇するでもなく、ましてや誇示すらせずに、淡々と何でものないことのように答えた。

その酷薄な態度と、言葉づかいのよさを、雲雀は気に入った。

「そっちは?」

子供の膝の上で眠っている、もう一人を指差す。

乱雑な茶色の髪をした、擦り傷だらけの子供。きっと、注意力が散漫なのだろう。

その子供の、顔は良く見えない。

「ケンです」

イタリア語の中に、日本の発音が入った。

僅かに訛りを残すそれは、確かに日本のものだ。

では、その子供も純粋ではないのかもしれないが、日本人だ。

黒髪の子供がそう名付けただけで、この国の子供かもしれないとは思わなかった。子供は、流暢なイタリア語で話していたから。

「けん?」

「僕の家族です」

「そう…」

膝に乗せた頭をゆっくり撫でる手に、雲雀は頷いた。

きっと血は繋がっていないだろうけれど、それ以上に強く結ばれた家族なのだろう。

異国の片隅に、同郷の血を引くであろう、おかしな子供が二人。

このまま別かれるのも、なんだか勿体ない気がして。

「なんですか?」

空いた手を差し出した雲雀に、子供が訝しげに眉を寄せた。

「…おいでよ。気に入ったから、拾ってあげる」

常になく穏やかな気持ちで誘う。

きっと、柔らかなこの天気も影響している。

暖かく、ぬくぬくとした空気は、ベットの中で午睡しているかのようだ。

 

差し出された手を数秒見つめた子供が、自分の小さな手を伸ばして、雲雀のそれに重ねた。

 

 

 

 

彼がその時、なにを考えてこの手を取ったのかなんて、知らない。

 

 

 

 

 

 

NEXT

 

 

すみません、しでかしてしまいました。

ますます色物サイトになっていく今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか…

こんな感じで骸を拾った雲雀の生活と、生長した後の骸の話を書いて行きます。

本誌では、マフィアの世界からさえ追放された骸ですが、ここでは一応とはいえボンゴレに所属しています。(ようはボンゴレ所属の骸を書きたかったんですが、今の骸じゃ無理だなぁ、と考えていたら、こんなもんが出てきました)

雲雀大好きなんで、雲雀のいうことならよく聞き分けますので、時々逸脱した行動を取りながら、なんとか無事過ごしております。

生温い感じで続いていきますので、嫌な方は見ないで下さいねv