[44] 呼んでおくれよ、君の声で

2007/4/30 (Mon.) 12:57:55

 

こぽりこぽりと空気の逃走音が聞こえる。

いくつもいくつも、呼吸に重なってこの液体から逃れていく泡。

うらやましい。

僕は未だここから出られない。

せめてこの無音の底で響く唯一のこの音が、君の声であればよかったのに。

じかに聴いた言葉の少なさに嘆き、それでも離れぬ君の鈴ろなる声。

君の声で僕の名前を呼んでほしい。

 

君は僕を覚えていますか?

 

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駄文だ

あまりの駄文に泣きたくなるぜ

 

 

 

[46] 好きです。ムクヒバ

2007/6/3 (Sun.) 21:47:42

 

「貴方を愛するのに理由が要りますか」

 

骸はそう言って真向かいに佇み、強い強い眼差しで刺し貫いてくる漆黒の瞳へと返した。

その心情全てを暴かんと攻め立てる雲雀へ、無防備を晒し、微笑む。

もとより出会って心を奪われたその時より、全面降伏をした骸は雲雀への敗北を厭いはしない。意地も矜持も誇りもすべて、価値など無いのだ。

「あなたは僕に理由を求めますが、そんなもの必要無いと思うんですよ」

対峙する潔癖な少年へと近付き、頬に触れ、耳にかかる黒髪の中へ指を潜らせて、その無言の許諾に彼は幸福を感じる。

「僕はただ、あなたのそばにいたいと思う。声も聴きたいですし、触れたい。あなたが僕をよんでくれたら、幸せだと」

じっとそらされることの無い漆黒へ、虚も偽りもまぜず、ただいま浮かぶ感情のままに笑いかける。

「それだけの事なんですよ」

そう眼前で綺麗に笑う男。

造作の端整さではなく、その真実ゆえに、美しい表情。

それに。

 

「骸」

 

雲雀は男の望むように名前を呼んでやった。

そうしてまた嬉しげに笑う男へ、最早訊くべきことはなく、男へ今後この手の疑問をぶつける事は無いだろう。

そうして、雲雀は自分へ問い掛ける事も止めた。

 

ただ、己の望むままに愛してると告げる。

 

 

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最近スランプから脱したんで、ひしひしと書きたくなって書けるようになってきました。(相変わらずの駄文ですが)

途中で放っておいた文とかにもどうにか手をつけようって気力も沸いて来ましたし。

私やっぱりこの時期が一番調子がいいですね。

なんでだろ

 

 

 

[47] もっとも残酷な季節

2007/6/16 (Sat.) 19:00:02

 

ふわりと鼻先をかすめた薫風にひそりと眉を寄せた男に気付き、雲雀はことりと首を折った。

それに、骸は嘆息して微笑むと窓枠から望む景色に霞む薄紅の色彩を眺めぽつりと零した。

 

「春は嫌いなんです」

 

己の視線を追い、自身が好む花に眼を眇める雲雀へと眼を映した男はけれど、と続けた。

 

「あの花は美しいと思います。あなたとであった時に咲いていた、あの花は」

 

美しい、といいながら、好きだとは言わない男に雲雀が何故と問えば、艶然と持ち上がる口唇が答えを吐き出した。

 

「春は、もっとも残酷な季節ですから」

 

数多の命が芽吹き淘汰され消えていく。

なうほど。

春とは残酷で美しい季節である。

そこでつとある思想に突き当たり、雲雀は瞬き隣の男を見上げ、それは同族嫌悪では無いの、と心中で呟いた。

 

 

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別に骸は桜好きだと思いますよ。

思い出の花ですし、雲雀が好きですし綺麗ですから。言わないだけで。

欄満に咲き誇り潔く残酷に散っていくさまが雲雀みたいでちょー好きだと思います。

ただやっぱり春は嫌い。

生まれて喰い合って死んでいく人間世界の凝縮みていで物凄く醜くて、大嫌い。

 

しかし今更春の話って・・・orz