嗚呼、殺してやりたい。

 

本当だったらどろどろのぐちゃぐちゃのめためたの巡った地獄で味わった全責め苦にオリジナルの拷問に精神術にetc.etc追加しても追加しても追加しきれないほどだけれども!!

ここはもういっそ撲殺絞殺刺殺毒殺あっさりさっぱり恨みも晴らせないほど一瞬で終わらせてしまうので構いませんから!!

 

「誰でもいいからこの男を消してくれないでしょうか」

 

思わず口をついて出た怨念こもる不穏極まりない科白に顔を上げたのは幸にも件の中年にしか見えない男で(あれで恭弥と同年代なんて、嘘に決まってますね、ええ!)、無言でこちらを目視してくる。

(なんですか気色の悪い!あなたに見つめられたってちっとも嬉しくありませんよ。僕が見つめられたいのは恭弥にだけです。むしろ君なんかに見られたら僕のこの身が穢れます!!)

と、言ってやりたい。口に出して。

しかし悲しいかな。

今も書類をめくりながら男にあれそれと指示を出している恋人の邪魔をしたら即座にこの場からたたき出されるのは火を見るよりも明らかで、到底実行に移せるものではない。

今日も今日とてぐっと奥歯を噛みしめ、開きそうになる唇を引きつらせながらも必死で閉ざして、我慢の子。なんて涙ぐましいのか。

(ちょっとくらい気づいて欲しいと思うのは、僕のワガママなんですか、恭弥)

そう祈りを込めてラブ光線を送って見るも、最愛の人の口から出たのは

「どうしたの、哲」

という何とも殺生なお言葉!!

主君ではなく、その背後へと視線を送る家臣を訝しんで書類から顔を上げて小首を傾げる愛らしい様に思わず滲む涙は堪えようがない。

「いえ、恭さん。なんでもありません」

「そう?しっかりしてよね。この件は君にやってもらうんだから」

「はい」

信頼関係ばっちりです☆な二人に半狂乱になって叫び出したい。今すぐ無限地獄にあの男をたたき落としたい僕の物ですと抱え込みたい、嗚呼!!

(でもそんなことをしたら、絶対に許してくれないですよね)

だから今日もぼうだの涙を流しつつ、骸は膝を抱えて雲雀の仕事が終わるのを待つ。

 

(誰か本当に彼を殺してくれませんか!!)

 

 

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