奈落へダイブ

 

「お帰りなさい、雲雀お兄ちゃん」

玄関を開けた瞬間かけられた声に雲雀はひっそりと、彼の気性を現すかのように細く真直ぐに伸びる眉を顰めた。

にこにことあどけなく笑って土間に立っている幼い子供の姿をした異物は数ヶ月前から部屋に現れるようになったファントム。鍵など渡した覚えは微塵もないから当然の如く毎回不法侵入を果たす子供を犯罪者だといって警察に突き出してやりたい欲求と雲雀は日々戦っている。

「なに、君また来てたの」

子供を極力視界に入れないように背を向けて脱いだ靴をきちんと揃える雲雀の背に、甘えた舌ったらずな言葉がぶつかって来た。

「うん。遊ぼうよ、お兄ちゃん」

ぞわりと肌を泡立たせた怖気に雲雀は腕を擦ってこれ以上なく苦々しい顔をして子供に向き直った。

子供は、子供特有の計算高い愛らしい顔で雲雀を見上げている。

「お兄ちゃん?」

じっと心なしか青褪めた顔をして自身を見詰める少年に、子供は首を傾げた。

「その気色の悪いぶりっこ止めてくれない?吐き気がして来るんだ」

口元を手で覆って思いっきり顔を背けた雲雀に、くすくすと笑い出した子供は眦を下げる。

「貴方があんまり毎回毎回律儀に可愛らしい反応をしてくださるものですから、つい」

「相変わらず最低な趣味だよね、君」

「そうですか?僕は趣味がいいと思いますよ」

「―――変態」

心底楽しげな子供に向かって吐き捨て、早く着替えようと子供を置き去りに歩き出した雲雀の後を、子供がとてとてと体重に見合った音で小走りに着いてくる。雲雀と子供では絶対的に歩幅が違うのだから、しかたがない。

だからといって子供の足幅にあわせてやるような優なんて雲雀は持ち合わせもいなければ、よりによってこんな相手に見せてやるようなつもりもない。

寝室に入った雲雀はクローゼットを開け放つとネクタイに指をかけて緩め、そのまま引き抜いてハンガーに丁寧に掛けた。ついで束縛から放たれたシャツの襟元に伸びた手がボタンを外していくのを、室内に入り込んだ子供はベットの上に乗り上げて観察している。

時々ぱたぱたと足を揺らして存在を主張するのが小憎らしい。

「其処から降りてくれない?」

神経に障るその音にいい加減イライラが限界に達して、雲雀は新しいシャツを取り出しながら背後に向かって言葉を投げる。が、そんな事で大人しくなるような相手では無いとわかってはいた。

「なぜ?君が此処で僕に組み敷かれてる様を思い出すからですか?いやらしい人ですね」

案の定、万倍にもなって帰ってきたいっそ暴力の域に達した言葉に雲雀はこめかみを引きつらせた。いやらしいのはお前だと相手がか弱い子供の姿をしている事なんか関係無しに(実際関係ないはずだ)殴り飛ばしてサンドバックにしてやりたい衝動が込み上げる。それを押さえつけながら、何故自分が我慢なんてしているのかという理由は考えない。思考すればループに嵌って抜け出せなくなることは経験済みだからだ。

「雲雀くん?どうしたんです?想像して興奮したんですか?」

追い討ちを掛けようとしてくる子供の甲高い声に我慢しきれなくなって等々振り返った雲雀に、子供はことさら満足気に微笑んだ。それに舌打ちして、雲雀はぎりぎりと子供をにらみつける。

認めたくないし腹立たしい事この上ないが、その小さな身体に押し倒されて小さな性器を含まされたことがあるのも、現在進行形でその回数が増え続けているのも事実だ。自分を欲望の対象として圧し掛かってきている存在がまだ年端も行かない子供だという事も、その子供の下で自身が蹂躙されている事も雲雀をいっそ死にたくなるくらいの気分にまでどん底まで突き落とす。誰あろう、この雲雀恭弥をだ!!

例え中身があのどうしようもない変態で本当の年なんていくつかもわからない化物だろうとそんな事ちっとも救いにはならない。

技巧そのものはあの変態のものであるからして、キスされたり身体に触れられたりすれば快楽だって感じるのは、まあ当然だと納得もしよう。だが相手の肉体は二次成長も迎えていない子供の物だから、当然突っ込まれたって、その行為で快楽を感じるには程遠い。(多少なにか入っているな、というくらいだ)

それでも快楽を感じる己を殴り殺してやりたいと雲雀は強く思う。今一番目障りなのも腹立たしいのも自分自身だ。

快楽を感じるのは肉体によるものじゃなくて精神によるものだ。

あの男に侵されていると認識するだけで無様なほどに喘ぐ自分は、本当に、どうかしてしまっている。

「雲雀くん?」

思考に囚われて立ち尽くす少年にベットから降りて近付いた子供は、そのいとけない手を伸ばして懇願する。

「しゃがんでください、雲雀くん。今の僕では、僕から君にキスをして上げられないんですよ」

初めて会ったときとはまったく異なった姿形を持つ男は、それでも浮かべる表情はそのままに甘く酷薄に雲雀を呼ぶ。

内心で思いっきり自分を嘲笑いながら、雲雀は膝をついて子供の小さな小さな舌を口を開いて受け入れた。

 

text-s

念願のみー君書けました…それは良しとしましょう…しかしどうして雲雀が犯罪者もとい変態もとい可哀相な人…

ひっさびさの更新がこれか!!

あっはっはっはっはっは!!!

管理人の精神状態をあらわしてるようですね!!!

 

そして思いっきり話の方向性がずれたんです。

ジャンプに踊らされてもともとディノヒバ好きの私はムクヒバでディノヒバな話を書こうとしたんですよ?ディノさんによろめく雲雀さんを

おっかしいですね!

↓は書く予定だった三ヶ月目の浮気。(の流れ。思いっきりプロット)

 

 

 

 

 

 

なに君また来てたの

問題になるからこないでって行ったでしょ

心配いりませをよ

暗示をかけてきていますからね

そう

きょうや?

悪いけど、君にかまう気分じゃないん

きょうや!

顎をぐいとつかんで引き寄せる(前の姿の幻覚)

なんて、顔をしてるんですか

離して

 

きょうや

なにがあったんです

なにもないよ

 

ないわけがない

 

自分以外をうつして熱に浮かされたような顔をしている

 

誰があなたをそんなに熱くさせているんです

 

君をねじ伏せるにはあまりにも幼い

覆い隠すにはあまりにも足りないこの幼い体が呪わしい

こんな小さな体で抱きしめても欠片たりとてあなたを隠せない

 

 

ってなるはずでした!!

何処で間違ったんでしょうね?

またリベンジしたいと思います!ムクヒバ前提のディノヒバ萌!!