断罪者の瞳だ。

その黒を見た瞬間、骸は幻を見た。

血に染まった剣を掲げ、神の軍勢を先導し邪悪を撃ち滅ぼしにきた純白の衣を纏った乙女の姿。

自身を縫いとめる少女の硬質な黒に、歪みなど見当たらない。

彼にしな垂れ一夜の情けを乞う娼婦のように四肢をついて、床に這いつくばる姿を、その黒々とした目だけは敗北を知らない傲慢な女王の如くにどこまでも裏切っていた。だから貶めて辱めて暴いて粉々に砕いてやりたい。脆く美しい硝子の杯のように踏み躙って。それでもなお星のように煌めくなら僕は君を愛するだろう。

それはとても残酷で君にとっては不幸以外の何者でもないのだろうけれど。

「貴女は恐ろしいほどに強いですね。女性にしては」

だから跪いて愛を乞おう。頭をたれはしないけれど、どこまでも残虐に酷薄に君に愛を囁いてその肉体に精神に君臨しよう。やがては幾重にも頑なに纏ったその尊厳たる衣を引き剥いで、無防備な心を蹂躙しよう。

指に絡めて撫でた髪は深淵を抱いて、その闇の馨しさに渇いた咽がさらに飢える。早くはやく、その甘い暗黒に僕を包んで。この躰が乾いてしまう前に、光に焼け爛れてしまう前に。

その漆黒を掴んで引き上げて現れた処女の無垢を余す所無く見せる清雅な貌が見納めなのが、残念極まりない。だって、その潔癖さに暗愚さに嘲笑も覚えるが確かに心惹かれたから。

「だから、貴女に産んでもらいましょう」

起こした身体をもう一度、深く深く押し倒す。背を地につけて、陸に上げられた魚のように砂にまみれて喘ぐしか出来ないその哀れな様に憐憫を覚えたのはきっと嘘では無い。可哀相な人魚姫。泡になって消える事すら適わないから逃げることも出来ない。薄紅のはらはらと降る花びらは自由に泳ぐ君を捕らえる重力のように。なんて美しい枷。この上もなく貴女に相応しい。

「僕を」

沈んだ紺の布地の波は夜の海。プリーツスカートから晒された白い華奢な肢の傷は何度も転がされて地面に擦ったからだろう。それはこの上なく扇情的で、他の男につけられた口付けの痕のようですらあったから、手指の痕がつくほど強くその軟らかい腿を掴んで持ち上げて。骸は温度の高い舌で傷口を抉るように舐めた。硬直して引きつった硝子を引っ掻いたような雲雀の嬌声に高揚する熱に骸は微笑した。

 

 

受胎告知

 

 

 

 

巷で流れる52号の早売りを聞きかじっただけで暴走してみました…骸を産む雲雀…う〜ん…やはし際物色物好きなのか、私…

あ、上の受胎告知を押していただけると、予告?に飛びます。

自分を追い詰める為に予告作ってみました…目標は53号出る前に完結させること…出来るか甚だ怪しい…

この最初だけ本館と同じ書き方をしてみました…でも直ぐに挫折…この書き方長い話書くのには向きません…疲れる

だからきっと本館は更新遅いんだ…一行書くのに延々10分くらい悩んで書く…そして数十行で疲れ果てて気力が尽きる…

でもいいんだ…本館のCPはそんな文が一番似合うから…

と言うわけで次回からいつも通りの書き方に戻ります!