露骨ではありませんが(たぶん…)性描写が混じっています。

苦手な方はお気をつけください。

や、でもぬるいですがね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純潔の花

 

もう何度目だろう。

あえかな嬌声を上げて、痩身の少年が吐精した。

少年の体は己だけでなく、内に収まった男からも精を搾り取ろうとするかのように、より貪欲に蠕動する。その媚肉が射精を促すのをやり過ごして、骸は雲雀の法悦にひくひくと小刻みに震える内股から、濁った白い精が飛散した薄い腹を撫で上げる。

それにすら感じるのか、骸を包む内壁がきゅうっと縮小した。

堪えきれず、骸は短く濡れた呼気を吐いた。

「お上手ですね…初めてだったみたいですけれど、才能あるんじゃないですか?」

ほんの数時間程前まで、まったくの処女地だったそこを犯し、骸はくつくつと咽喉を震わせた。

裂けて血を流すそこは、もう男の質量になれてしまっている。拒むようだった固い締め付けは、柔らかく解けてしな垂れかかる女のように絡み付いて蠢く。

「ねぇ」

けれど、彼は応えない。

熱くわななく身体の中で、其処だけは冷え冷えと、覚めた眼差しで骸を捉える。

その瞳は快楽に蕩けて涙で潤んでいるのに。

宿る光は頑なで、ちっとも融和しようとはしない。

「本当に、強情な人ですね。身体はこんなに素直なのに」

僅かに腰を動かせば、途端に首をキレイに仰け反らせて甘い悲鳴を噛み殺す。腰は揺らめき、ほっそりとした足はより男を咥え込もうとさえする。

こんなにも従順にその肉体は骸にしたがってくれるに、その心だけはかたくなに拒むのだ。

何度も何度も骸によって突き崩されて、その身体がもう元の自分のモノなんかじゃなくて、男によって変えられたモノだと思い知らされているはずなのに。

その精神(こころ)を壊しても壊しても。

雲雀は膝を折ろうとはしない。

これは確かに暴力だけれど、本当にその心までを傷つける事の出来る力だ。

ただの暴力とは違うのだ。

彼のように、潔癖で高潔な相手には、特に効力を発揮する。

「なのに、ねぇ?なんで君は折れないんですか?」

心底不思議そうに、子供のように骸は問い掛ける。

本当に本当に。骸にとって思いもかけないことだった。

凛然と、まっすぐに立つ姿がキレイだった。

汚れた事が無いのだと、一目でわかった。

けれど、そういう花ほど茎は脆く、ぽっきりと折れてしまうのだ。

弱くは無く、けれど強くも無い。

ある一定の力までは耐えられても、それ以上の負荷がかかればあえなく骨を折る。

それなのに、なぜ壊れないのだろう?

なぜ、地に落ちて泥にまみれないのだろう。

幾度も幾度も踏みにじったのに。

この真白い躰の中は、汚らわしい骸の欲望で満ちているはずなのに。

「どうしてなんでしょう」

ゆるゆると、執着も顕わに骸は自身を収めた雲雀のくびれた腰を撫でる。どこもかしこも尖って、発展途上な躰は甘くは無いけれど、薄く染まって火照っている。少年自身も屹立し、確かに快楽を感じていることを示して居るというのに。

見下ろす骸を、その眼はただただ、無感情に逆に見下ろしてくる。

いっそ遥かな高みから、矮小な人を嘲笑うかのように。

ああ。なんて強い瞳だろう。

「僕では貴方を汚せませんか?」

哀しげに、骸は嘆息して、ゆっくりと律動を開始する。纏わりつく肉を振り払い、あるいは掻き分け、男は自身の狩った獲物を捕食する。

当然の権利として。

「でも、それもいいかもしれません…」

やんわりと雲雀の性を握って擦ってやれば、高らかな色声が上がる。

心地良くそれを聞きながら、涙の滲んだ目尻に唇を落とし、骸はその塩水を舐め取っていく。

「僕はね、なんでも奪って、なんでも汚して、なんでも壊してきたんです」

逃げようとずり上がる身体を、細い両の手を十字架に貼り付けられた神の子の様に押さえつけて、蹂躙する。

のたうつ身体を捩じ伏せて、骸はひっそりと微笑んだ。

歓喜を秘めて。

「家族の情愛も、神の慈愛も。だって、僕が手にできるものなんて、尊いと呼ばれる価値が無い。こんな手で得る事ができるものなんて」

真実に尊いものならば、決して骸に触れられるものではないはずだ。

それはどこまでもどこまでも残酷に、罪人を拒なければならない。

揺らめく水の膜の向こうから、一切の汚濁を含まない澄んだ漆黒が骸を睥睨している。

「でも、君は――」

こんなにも優しく、その躰は骸を愛してくれているのに、彼の心は骸を拒む。

鮮烈に、決してそれが翳ることは無く。

切り裂かれた傷口の赤が、滲む汗に溶け出して雲雀の額にじわじわと拡がっていく。

「ねぇ。貴方はそのままでいてください。どこまでもどこまでも気高く、僕を見下ろしていて。なにものにも堕とされずに」

固く握り締められた雲雀の指をこじ開けて、一本一本、骸は自分の指を雲雀の指の間に捻じ込み、きつくきつく絡め合う。

「僕は、神さまなんてずっと居ないと思っていました。でも、違ったんですね」

深く深く睦みあっても、決して自身のモノにはならない、いと高き人。

近付く極みに、忙しない呼吸を繰り返す雲雀の胸に、骸は祈るように額を押し当てる。

そのまま、上下する薄赤い果粒を食んで歯型を残すと、ゆっくりと顔を上げる。

噛み痕から滲みだす血の赤に満足気に笑んで、骸は責め苦にも似た快楽に歪む雲雀の美しい顔を見下ろす。

「彼らは僕の神じゃなく、僕の神はここにいた」

ああ、それは、崇めるべき神を見定めた、狂信者の眼差し。

 

「僕の神さま」

 

まるで殉教者のように崇高に、懺悔にも似た仕草で、彼は彼の神に口付けた。

それは苦く、血の味のする祝福。

絶頂に悲鳴を上げようと開かれたその口内に押し入って、下肢と同じく容赦なくその肉を貪る。

彼は彼の神を手に入れた。

決して彼に汚されることの無い、彼の手の届かぬ場所に在る永遠の気高き偶像。

 

ハレルヤ!

主は降誕された。

噎せ返るような獣性のなか、処女マリアが産み出した。

 

その無垢なる胎を汚し、純潔たれ!!

 

それこそ我が崇拝せし絶対のお方!

 

 

 

 

え〜と…なにがどうなってこうなったんでしょう…可笑しいな…こ、こんな話になるはずでは…ただたんに、汚しても汚れない雲雀さんに骸がいらだつという話だったのに…

先日のチャットでのネタも混じりました…萌えネタがあまりにも多くて、無意識のうちにでしょうか…

…よく分らないんで、逃げます。

探さないで下さい…