異形を見る度に世界が死ぬ。

何千何万何億回と繰り返し繰り返し、あの幼い頃から何度も何度もその存在を目にする度に、アルベルトを形成する意思が目的が願望が一切合切が破壊され彼の者一色に塗り潰される。

日毎夜毎、太陽が昇り月が取って代わりまた太陽が昇るその瞬きの間に一瞬でもその姿を捕らえてしまえば、世界は色彩(いろ)を失い異形以外は価値をなくす。

それは侵食であり侵略であり紛れもない略奪だった

決して飽きることのない、慣れることのない絶対的な武力。

暴虐の限りを尽くし、今もまたアルベルトの世界に君臨する恐ろしい怪物が振り返った。

 

「どうした、アルベルト」

 

その声その目その髪その膚その指その顔その肢体!!

なんて美しくて愛しいのか、私の化け物!

 

断末魔の悲鳴すら上げる余力無く、絶息の吐息を墜として今日もまた世界が死ぬ。

ああ、

本当に美しい。